元宵節(小正月)にスカイランタンを放つ行事は、100年の歴史を有しています。1999年から開始された平渓ランタンフェスティバルは今年で25年目を迎え、長年の努力の結果、今では国際的に有名なフェスティバルとなり、国内外から多くの観光客が訪れるようになりました。さらに多くの評判を得て、台湾で最も代表的なフェスティバルの一つとなっています。
天は、民間習俗における天宮の所在であり、民間信仰で最高位の神・玉皇大帝(天公)と神々は天宮に住み、全ての民を守っていると言われています。つまり、太古の昔から人々は天に向かって拝むことで、天公の庇護を祈っているのです。漢人にとって、天は民の庇護、そして全能の神の象徴なのです。
スカイランタンは、またの名を孔明灯といい、三国時代・諸葛亮が発明したものと伝えられています。当時、諸葛亮は司馬懿により平陽城に幽閉され、外界と連絡できなかったことから、大きなランタンを作ったと言われています。空気の熱流上昇原理を利用して、ランタンを空中に漂わせ、軍事情報の伝達に利用していたようです。その後、民間に伝承され、人々が天に願いを捧げる媒介としての役目を果たすようになりました。上元節にスカイランタンを天に放つことは「天に昇って天の声を聴き」、天公に幸福を願うという意味合いがあるのです。
そして、平渓スカイランタンの由来は清朝道光年間にまで遡ります。平渓一帯の開拓民が盗賊に集落を荒らされ、山中に避難することを余儀なくされましたが、危ない状況が過ぎさったとき、村に残った人々が平和を伝える合図としてスカイランタンを天に放ち、家族に戻るよう伝えたといいます。時局が安定すると、このランタンは地方の習俗となりました。村民は、また時として祈りを捧げ、願いの言葉をスカイランタンに書きとめました。旧暦正月15日の元宵節に空へと放って、一年の願いを託し、天の神に家内安全を願うのです。このことから、スカイランタンは「祈福灯」または「平安灯」とも呼ばれています。
素晴らしい環境 新北市平渓十分一帯は周囲を山に囲まれており、平均湿度は75~80%という、雨が多い多湿な自然環境から、現在、唯一、スカイランタンを放っても安全な地域として地方政府が認可しています。このような特殊な環境もこの伝統文化を根付かせる要因となっており、新しいスタイルで存続しています。